実施報告:安東 2019国際アコースティックギターフェスティバル“ 第5回 DINGA DINGA ギター音楽祭 ”

2019年6月8日、安東国際アコースティックギターフェスティバル「第5回 DINGA DINGA ギター音楽祭」に参加してまいりました。

会場である知禮芸術村(チレイェスルチョン/ちれげいじゅつむら)は、今年が創立30周年。昨年訪れたときと変わらず、緑したたる山々に抱かれて、静かな佇まいで私たちを迎えてくれます。

 

前日の雨から一転、好天に恵まれ、燕の飛び交う青空のもと、多くの観客の方々が来場されました。

 

音楽祭開幕前の時間をいただいて、村内の伝統家屋 韓屋(ハノッ)のひとつで文化財資料第49号に指定されている 芝村書堂(シチョンソダン)において、ワークショップを開催。

 

この7月にもご指導いただく画家 ホシ ミサさんによる「500色の色えんぴつ ぬり絵」ワークショップのそばで、みのおてならいでは、浴衣の着付けとお抹茶の体験会を開きました。

 

ご希望された5名さま限定で浴衣を着ていただいて、記念撮影ののち、そのままお抹茶やコンサートをお楽しみいただきました。

 

またお抹茶体験には40名を超える参加者に、その場で点てたお茶と、日本の夏の名菓 くずまんじゅうをご賞味いただきました。
ご参加者からは、「韓国と日本の伝統を同時に体験でき、とてもよい経験でした」「濃い緑茶のすっきりして深みのある味が素晴らしいです」といった嬉しいお言葉を、笑顔をともに数多く頂戴し、小さくとも確実に、伝統文化を通じての心の交流がかなったことを実感することができました。


青空が黄昏の色に染まるころ、「第5回 DINGA DINGA ギター音楽祭」が始まります。

 

国際アコースティックフェスティバル推進委員会 金源昌(キム オンチャン)会長のご挨拶。

 

グローカル友好協会 星 正 理事長(左) すべて韓国語でご挨拶をされました。

 

司会進行を務められた、崔中賢さんと金孝珉さんのお二人。浴衣がとてもお似合いです。

昨年を上回る数の観客でいっぱいの会場に、美しいアコースティックギターの音色と歌声が拡がってゆきます。

 

日本から2度目のご参加の音楽愛好家 福住利通さんは、第1部・第2部と、合わせて4曲を熱唱!

ギターは、音楽祭のディレクター黃潤晳(ファン ユンソク)さん。

 

金 源昌会長、金 玉卿マダムファミリーによる演奏も披露されました。崔 海俊くんの透明感あふれる澄んだ歌声が会場に響きわたります。

ささやかながら日韓の文化交流に役立てたことを小さな誇りに、今後も豊かな生活文化を育てるお手伝いをしてまいりたいと思います。

最後になりましたが、昨年に続き、今年も金源昌会長、金玉卿対外協力委員長をはじめ、運営にご尽力いただいた関係者のみなさまには大変お世話になりました。心より感謝申し上げます。


安東観光&グルメ


安東で体験した観光&グルメをご紹介します。

●味50年(マッ オシップニョン)

韓国入りした夕べには、歓迎の宴を開いていただき、安東の郷土料理と言われる、ホッチェサパプを楽しみました。チェサパプ(祭祀料理)は、祭祀(チェサ 先祖を供養する儒教の儀式)の後に家族や親戚と一緒にいただく食事。それがとても美味しいので、祭祀のとき以外でも「今日は祭祀があるから」と偽ってでも食べようとしたお料理が、ホッ(偽物)を付けてホッチェサパプと呼ばれるようになったとか。

ホッチェサパプには本来のお膳には、ニンニクや唐辛子は使われないので、辛いのが苦手でもだいじょうぶ。大きなお皿で供された焼き物は、カンゴドゥンオという塩漬けの鯖で、海から離れた安東の地に運ぶため、保存がきくよう塩漬けにしたものが始まりだとか。日本の鯖街道の話を思い出し、同じ東海(トンヘ 日本海)で獲れる海の幸をめぐる共通の食文化のひとつを教わった気がしました。最後にいただいた安東シッケは、生姜の辛みが爽やかな味わい。


●月映橋(ウォリョンギョ)

洛東江(ナットンガン)上流にダムを造成してできた安東湖に架けられた橋で、象牙洞と城谷洞をつなぐ全長は387メートル、木造人道橋としては韓国内最長なのだそうです。「月映橋」の名は、“月谷(タルゴル)”というかつての地名と、ダム湖に没するため山の中腹に移された“月映台”を参考とされ、市民によって決まったのだとか。日光のもとでは、ゆるやかに曲線を描いて伸びる橋の姿を望め、夜にはライトアップされた姿が、闇に沈む湖面上に浮かびます。橋の中央には、かつての東屋を模した「月映亭」が造られており、そちらも夜はイルミネーションに彩られ、ソンビ(韓国の高潔な儒学者)たちが月を愛でて詩を詠んだ往時が偲ばれます。

この橋を渡りながら教えていただいたことには、1998年、安東において墓地を宅地開発した際に、1586年に亡くなった李應台(イ・ウンテ)という男性の墓から、彼の妻が自分の髪で編んだミトゥリ(わらじ)と、亡くなった夫への哀切なる想いが綴られた手紙が見つかったそうです。夫の病が癒えることを願い、女性にとっては大切な髪を切ったにもかかわらず、自分と幼い息子を残して31歳の若さで夭折した夫への、痛ましくも美しい愛の物語。その伝説にちなみ、この橋は、ミトゥリの形をモチーフにして造られ、この橋を渡ると良縁に恵まれるのだとも、伺いました。


●テマ炭火カルビ

音楽祭の当日、知禮芸術村へ入る前に、昼食にお連れいただいたのは、安東牛炭焼き骨つきカルビ(テマカルビ)の名店。水と空気のきれいな安東では、作物はもちろん、飼育される牛も美味なことで有名なのです。炭火で焼いていただくお肉は、しっかり火が通ってもやわらかくて、絶品! 最後に供されるのはカルビチムとテンジャンチゲ。しっかり味の付いたカルビチムに、野菜たっぷりで味噌味がやさしいチゲ、どちらもご飯がすすみます!


●安東泥川洞石仏像(アンドン イチョンドン ソクブルサン)

国道近くに立っている磨崖仏は、高さ12.38m、頭の長さだけで2.43mもある巨大な仏さまで、宝物第115号に指定されています。別名「ジェビウォン彌勒仏」と呼ばれ、この仏像の後ろに燕尾寺(ヨンミサ)という小さなお寺があります。

お身体は自然岩壁に線彫りされ、頭部は別に彫刻して後から載せられていて、その様式は高麗時代(918-1392)に広く用いられた手法なのだそうです。日本の古仏にも似たご尊顔は、遠くからでも穏やかな眼差しを私たちに向けてくださっているように思われたことでした。