実施報告1:みのおてならい「星を想う朗読会」

8月9日(月・振休)みのおてならい「星を想う朗読会」を開催しました。

当日の朗読会へ寄せられたお声とご感想をご紹介します。

 

ごあいさつ  

 

 本日は、 新型コロナ感染症が憂慮されるなかをご来場いただき、 衷心よりお礼と感謝を申し上げます。

 

 昨年より、 みのおてならいのオンライン体験会に集ってくださったみなさまと、 ただ一度の夏を長く記憶に残したい との思いで、 箕面の地にオープンしたての箕面市立文化芸能劇場も誇りと、 本日の開催を決めております。

 感染症対策のため、 多くのご協力をご来場のみなさまにもお願いいたしますが、 最後まであたたかく見守って いただけるとしあわせです。

 

 ごあいさつにかえて、 ひとつだけエピソードをご紹介させてください。

 

 今回のプログラム 「銀河鉄道の夜」 は、 東日本大震災 10 年の節目にとの思いから、 川邉暁美さんに お願いしました。 また、 「セロ弾きのゴーシュ」 でも知られるように、 チェロは賢治さんの作品世界を伝える 大切な楽器であり、 敬愛する山岸孝教さんが伴奏を引き受けてくださったことは、 とても幸運でした。

 

 ネットで賢治さんと朗読、 そして伴奏を検索すると 〈朗誦伴奏〉 という言葉に出会います。

 

 この言葉、 賢治さんの造語なのかと、 長年親交のある宮沢賢治学会理事の中野由貴さんに確認したところ 造語ではない、 とのこと。 賢治さんが大正15 年に上京し、 チェロ奏者の大津三郎氏の元でレッスンを受けた ときに 「エスペラントの詩を書きたいので、 朗誦伴奏にと思ってオルガンを自習しましたが、 どうもオルガンよりも セロの方がよいように思いますので…」*と答えた資料を引き、 当時はこうした言葉を使っていたようだ、 と教えて もらいました。

 

 賢治さんが 〈朗誦伴奏〉 で作品を実演できたかどうかはわかりませんが、 これも忘れ形見とプログラムに 記しました。

 

 おふたりの実際の音合わせは、 コロナのため、 オンライン以外にはただ一度だけ。 箕面文化 ・ 交流センターの 小さな一室に集い、 このプログラムを体験しました。 川邉さんの声とことばが、 チェロによって彩られ、 透きとおる ように別の次元に導かれる。 ふたりのやりとりを前に、プロの仕事とはかくあるものかと、 胸を熱くして耳を傾けました。

 

 音合わせが終わり、 山岸さんがおもむろに 「さそりの火のシーンは、 タイタニック号の甲板で弾かれたという 讃美歌です」 と言われて、 はっと膝を打ちました。

 

 「銀河鉄道の夜」 は、 謎が多い作品といわれており、 賢治さんが 15 歳のときに起きた豪華客船 タイタニック号の沈没事故*が、 その謎を解く鍵とも言われています。 事故から 13 年後、 1925 年 1 月に 書かれた賢治さんの詩の一節 「まるでわれわれ職員がタイタニックの甲板で Nearer my God か何かうたふ 悲壮な船客まがひである」 (詩集 「春と修羅 第二集」) にも綴られたメロディ……。

 

 山岸さんにこうした話をすると、 まるで知らなかったと言われ、 互いに鳥肌が立ちました。

 

 星の数ほどある音楽から、 讃美歌 320 番 「主よ、 みもとに近づかん」 を選ばれた偶然。 この夏もまた、 たくさんの星になった方々を鎮魂し、 お迎えする魂祭りの時節に 「星を想う朗読会」 の幕を上げて、 幸いを祈りたいと思います。

みのおてならい

主宰 福住めぐみ

 

*「エスペラントの詩を書きたいので~」 の箇所は、 「私の生徒 宮沢賢治 ~三日間セロを教えた話~」 (音楽之友 1952 年 1 月号) を引用。 〈朗誦伴奏〉 は、『宮沢賢治大辞典』 渡部芳紀編、『宮沢賢治の音楽』 佐藤泰平著にも記事が散見する。

*エスペラント : ポーランド生まれのユダヤ人、 ザメンホフが 1887 年に考案 した国際語。 エスペラントは異なる文化や言語をもつ人びとがたがいに 対等な立場で共通の言語を使うことで国際平和に寄与しようというザメンホフ の思想に基づいて創られた。

*豪華客船タイタニックの沈没は、 1912 年 4 月、 処女航海の途中 に氷山に衝突し、 1500 人を超える死者を出す大惨事を引き起こした 海難事故。


朗読会へのメッセージ


とても良かった。


皆様、それぞれの色のお声で美しく、景色も色とりどりに見せて頂きました。


多数の方の声とお話し楽しませてもらいました。川邊先生のお声はとてもステキでした。


素晴らしい。


しっとりと良い時間を過ごせました。ありがとうございます。


読み手によって、とっても印象がかわるのがおもしろかった。


朗読のたのしさを感じました。やみつきになりますね。チェロがすばらしく最後のメロディは宇宙に連れていって頂いた気がしました。


「月夜とメガネ」の朗読の間、トローバのソナチネ第二楽章が鳴っていました。「智恵子抄」の時も同じトローバのロマンス、それとチャイコフスキーのマズルカが流れました。


朗読会、初めて参加しました。それぞれの声の質を楽しめました。


朗読する方々の声はよくとおる耳にこころ良い声でした。ゆっくり朗読を聞いていると心がおだやかになり不思議な気持ちになりました。朗読を聞くって初体験、いいものですね!チェロの伴奏ステキ。最高でした。ありがとうございます。


久しぶりにいい体験ができ、ありがとうございました。とても心癒される感じがし、音(チェロ)とのマッチが大変良かったです。昔、ラジオに耳を傾けていた頃をなつかしく思い出しました。


日本の言葉の美しさを再認識しました。


知らない話、知っている話、思わず次はどうなるなのかな、なんて思いながら聞いておりました。


いい企画でした。


朗読会ははじめて観に来させて頂きましたが、本当に来て良かったと思うぐらい心がいろんな感情で満たされた時間でした。私はずっと音楽をしていますが、言葉の美しさ、大切さ、また音楽では感じることができない、また別の感覚になりました。とても素敵でした。


それぞれの方の声や読み方の個性が感じられました。


すばらしい木の香りにつつまれた空間で美しいチェロの音色にもつつまれ、心まで洗われるような気持ちになりました。久しぶりにもてた特別な時間でした。参加してよかったです。ありがとうございました。


朗読会に初めて参加させていただきました。声の響きの美しさチェロの弦のひびき……。“空気の振動によって伝わる感動”に久しぶりに拝することができ、宝物の時間をいただけました。オリンピック閉会式最後の宮沢賢治の「星めぐりの歌」→次の日に再び出会え感動です。


前半は聞けなくて残念でした。朗読を聞いたのは初体験でしたがチェロの響きと重なって(変なたとえですが落語のような)ドラマを頭に描いているようで新鮮でした。チェロの生音も素敵でした。


それぞれの方の個性がうかがえる朗読でした。日本語のひびきの美しさを改めて感じることができるよい機会になりました。ありがとうございました。チェロの演奏もあったのでうれしく思いました。


素人の方々の「朗読会」は初めてでしたが、個性があり、皆さん、おもしろかったです。皆さん、よく錬成されていて、ステキでした。ありがとう!